朝活

朝活とは

「朝活」とは、朝早く起きて、会社に行く前の数時間を仕事や勉強、趣味、運動の時間に充て、スキルや能力などを向上させたり、人との交流を深めたりする活動を行うことです。

世の中の不況の影響で、会社員であれば安定した暮らしができるという考えは薄まり、自分の身は自分で守る的な考えへシフトした結果として、健康管理や自分磨きの勉強、人脈作りなどに関心を持つ人が増えてきました。
ですが、仕事が終わってからでは、自分がやりたいことをするための時間がとれない日もありますよね。

そこで、確実に時間がとれ、勉強にも最適とされる早朝の活動がブームになったようです。
また、朝活ブームに伴い、朝活を行う人を対象にした早朝営業のカフェやジム、語学教室、セミナーなども増えてきましたので、今後も朝活人口が増えていくのかもしれません。

朝活を始めるために

朝活を始めようと決断しても、朝になると、もう少し眠っていたいと誰もが思うものです。特に冬は朝になってもまだ薄暗いですし、寒くて布団から抜け出すのに勇気がいります。「今日は眠いから明日からにしよう」と弱気になってしまっては、いつまでたっても朝活を始めることができませんので、ここでは早起きのコツを紹介したいと思います。

早く寝る

朝起きるのが辛いのは、眠いからです。夜は早めに寝ることが最も大事です。
ポイント

睡眠の周期は、浅い眠りと深い眠りが90分毎に繰り返されます。この90分の倍数の睡眠時間であれば、目覚めがスッキリするといわれています。起きる時間から逆算して寝る時間を決めるようにしましょう。
ちなみに、成人の場合の理想の睡眠時間は、4時間30分、6時間、7時間30分です。





寝る3時間前からは食べ物を食べない

寝る前に食べ物を食べると、消化のために内臓が休まらず、熟睡できなくなります。
寝る前は水分をとる程度にしておきましょう。
空腹で眠れない場合は、消化の良いバナナなどを食べるようにしましょう。

寝る5~7時間前はカフェインをとらない

カフェインは覚醒作用があり、その効果は5~7時間くらい続きます。
寝る前にカフェインの入った飲物をとってしまうと十分な睡眠時間をとっていても、睡眠の質が落ちて目覚めが悪くなります。

目的を明確にする

休みの日に朝早くから遊びに出掛ける時には、割と簡単に早起きできますよね。
目的もないのに早起きはできません。
朝早く起きて何をするのかということを前の晩に明確にしておくことが早起きを続ける秘訣です。

朝活のメリットは?

勉強する女性

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンが深く関係しています。

ドーパミンは、快感や幸福感、学習機能、運動機能に影響を与える物質で、不足すれば無気力になったり、記憶力や運動能力の低下を招き、過剰になれば、アルコール依存症や過食症などの依存症を引き起こすこともあります。
ノルアドレナリンは、物事に対するモチベーション、ストレスからくる怒りや不安などの感情面に影響を与える物質で、不足すれば無気力、無関心となり、うつ病の原因になります。反対に、過剰に分泌されると、怒りっぽくなったり、高血圧症や糖尿病の原因になったりします。

これらドーパミンやノルアドレナリンの分泌をコントロールしているのがセロトニンです。セロトニンは、朝起きて日光を浴びる時間が長ければ長いほど分泌量が多くなり、気持ちを前向きにしてくれ、精神のバランスを正常に保つことができるようになります。

また、セロトニンは、夜間に分泌されるメラトニンという物質の材料となります。メラトニンは、睡眠ホルモンとも呼ばれ、決まった時間に眠くなるように体内リズムを調整する働きがある物質です。昼間、セロトニンが正常に分泌されることによって、夜間、メラトニンも正常に分泌され、ぐっすり眠れることになるのです。

そして、質の良い睡眠をとることができれば、成長ホルモンという肌の新陳代謝や免疫力を高める働きのある物質も活発に分泌されます。よって、早寝早起きは、病気にかかりにくくなったり、美容にも良い影響を与えることになります。

時間と心に余裕ができる

夜は、残業や友人との付き合いなどで、まとまった時間が取れない日もあります。
また、疲れて帰ってきた後での運動や勉強は、毎日続かなかったり、集中できなかったりするものです。

それに対して朝は、早起きするだけで、誰にも邪魔されない自分の時間がたっぷり取れ、運動や勉強などを習慣化させることができます。
疲れきっている夜とは違い、睡眠によって、体の疲れもとれていますし、頭の中もスッキリした状態なので、集中力も高く、効率的な時間の使い方ができるようになります。

朝のうちに自分のやりたいことのノルマを達成しているということは、心にも余裕ができ、ちょっとしたことでイライラすることもなく、その日1日を気持ちよく過ごすことができるでしょう。

朝活に向いていることは?

有酸素運動

朝、身体を動かすことは、脳の血流が良くなり、脳を活性化させることができます。
そのため、眠気がなくなり、集中力もアップしますので、会社へ行ってもスムーズに仕事に取り掛かれます。
朝の運動としては、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ヨガなど、軽めの負荷で長時間続けて行う有酸素運動が最適です。
有酸素運動には、以下のような効果があります。

ダイエット

体内に酸素を取り込んで脂肪を燃焼させる運動であるため、ダイエットに効果的です。

冷え性や肩こりなどの改善

手足など身体の末端への血流も良くなり、冷え性や肩こりなどの改善にも繋がります。

脳機能の低下防止

脳への血行が良くなることで、酸素・栄養がより多く脳へ行き届くようになり、脳の機能が活性化されます。
また、ボケ防止、脳卒中の予防にもなります。

精神の安定

脳内のセロトニンが増え、精神を安定させたり、物事に対する意欲が湧いてきます。
うつ病の予防にも良いとされています。

勉強や読書

脳は、睡眠中に、昼間得た情報を必要な情報と必要でない情報に分け、必要な情報だけを記憶に残すような活動を毎日行っています。よって、朝は脳が整理されていて、新しい情報を記憶しやすい状態となります。
また、朝は、周りが静かなことや、集中力をアップさせたり、やる気を出させる脳内物質が分泌されやすい時間帯であるため、勉強や読書に向いていると思われます。

一日のスケジュールを立てる

朝は、頭がスッキリした状態であることや、時間にも余裕があるので、冷静な判断のもとで一日のスケジュールを立てることができます。やるべきことや最優先事項、成し遂げたい目標などをはっきりさせることで、その日一日の業務を効率的にこなすことができます。

瞑想

人は、頭の中で無意識にいろんなことを考えています。これは、意識的に何かを考えようとしているわけではなく、潜在意識の働きによるものです。その潜在意識は、やるべきことから意識をそらせてしまい、集中力が切れてしまう原因になります。
瞑想は、雑念を捨て、息を吸ったり吐いたりすることだけに意識を集中させることで、集中力を持続させるトレーニングになります。その結果、目の前のやるべきことに集中でき、仕事がはかどったり、持っている能力を最大限に発揮できるようになります。
また、リラックス効果もあり、ストレスが軽減したり、よく眠れるようになったり、体の免疫力がアップしたりと健康になります。

朝は記憶が整理されていて、脳も心もクリアになっている状態なので、瞑想をするのにふさわしいと思われます。

朝活はダイエットに効果的!

人間の体内に存在する「BMAL1」というタンパク質の働きに関係しています。
BMAL1には、体内時計を調整する働きと脂肪を蓄積させる働きがあります。

BMAL1は時間帯によって体内に存在している量が異なり、その量は午後10時から増加し始め、午前2~4時頃がピークとなります。
BMAL1が多く存在している時間に食事をとると体内に脂肪を溜め込みやすくしてしまうため、太る原因になるのです。

夜型生活で夜食をとってしまいがちな人は、まずは朝型生活にすることがダイエットに繋がります。

ダイエットには朝の運動が最適

食事を抜いたり減らしたりするダイエットでは、一時的に体重が減っても、体脂肪は減りにくく、減ってはいけない筋肉を減らしてしまう可能性もあります。
ダイエットでは、極端な食事制限を行うよりも、太りにくい体質にすることが大切で、そのためには基礎代謝を上げることが重要です。

基礎代謝とは、人が生きていくために必要な呼吸や体温維持、内臓を動かすためのエネルギー消費のことです。
この基礎代謝が上がると、特に何もせず、じっとしていても消費するエネルギー量が増えるため、太りにくい体質になります。

基礎代謝を上げるには、体に筋肉をつけること、すなわち運動することが必要となってきます。
運動によるダイエット効果が高い時間帯は、夜よりも朝、特に朝食前だといわれています。

朝食前は胃の中に食べ物が残っていない状態なので血糖値が低く、運動するためのエネルギーを、糖からではなく、体の脂肪から得ようとするために、脂肪が落ちやすくなります。
また、朝は、自律神経の交感神経が優位になり、体温を上げたり、脂肪を分解し、燃焼させる働きが増します。
体が活動モードになっている時間帯に運動をすることで、消費エネルギーがUPし、通常は徐々に上がっていく代謝も一気に高い状態となります。
その代謝が高い状態で朝食をとれば、脂肪として蓄積されにくくなるため、ダイエットの効果も高まるのです。

ただし、朝から激しい運動をすることは危険です。
低血糖で倒れたり、ケガをする恐れもあります。朝はストレッチやウォーキングなどの軽い運動をするようにしましょう。
ランニングなど本格的な運動をする場合は、起きてから30分の間は避け、水分と軽い食事をとった後で行うようにしてください。

朝活に勉強が向いているわけとは?

脳は時間が経つごとに疲れ、情報が煩雑化してきます。
ですが、一晩眠ることによって、その情報はきれいに整理され、朝は脳の疲れが回復しているクリアな状態となり、新しい情報が頭に入りやすく勉強に最適だとされています。

記憶は睡眠によって定着するので、暗記ものの勉強は夜寝る前にした方が効果的です。
朝に暗記した内容は、夜になるまでの間に次から次へと新しい情報が入ってくると忘れてしまう可能性があります。
朝は、前夜暗記したものの復習や思考力を必要とする内容の勉強をすることをお勧めします。

朝食前の勉強が効果的

「お腹がすいて勉強に集中できない」なんてことを誰もが経験したことがあると思いますが、実は、適度な空腹感は記憶力を高めることが科学的に証明されています。
お腹がすくと、脳は本能的に体の危機的な状況と判断するため、脳の中の本能や感情を司る「扁桃体」という部分が活発に動くようになります。
その動きに刺激されて、記憶を司る「海馬」という部分も一時的に活発に働くようになり、記憶力がアップするのだそうです。

時間の制限が集中力をアップ

勉強にしろ仕事にしろ、時間に余裕がある場面では、どうしても集中力がなくなり、効率が悪くなるものですが、試験前であるとか納期が近いとなると、普段の何倍もの集中力を発揮できたりするものですよね。
これと同じで、朝の勉強は、学校や会社へ行く前の限られた時間を利用するため、「この時間内に、これだけ終わらせなければ」というプレッシャーが脳を適度に刺激し、集中力がアップします。
また、早朝は誰にも邪魔されずに静かに勉強に打ち込むことができ、その点でも集中力はアップします。

ツァイガルニック効果

人は、何かを達成しなければならない時に緊張感が生まれます。
完結してしまったものに対しては緊張感がなくなり忘れやすくなりますが、途中で中断されたものは、緊張感が続き、記憶に強く残ったり、完結させようとする心理が働くそうです。
この効果を「ツァイガルニック効果」といいます。
朝の勉強は、時間切れで中途半端に終了しなければならないことが多いと思います。
切りの良いところまで勉強できた方が気分的には良い感じですが、ここで「ツァイガルニック効果」が期待できます。
続きが気になって勉強へのモチベーションも上がるのです。

なぜ朝活をする人は成功するのか?

世界的に有名な成功者には、「朝活をしている」という共通点があります。
ここでは、

なぜ朝活をする人は成功するのか?

なぜ成功者は朝活をするのか?

について考えてみたいと思います。

7つの習慣

世界的なベストセラーとなったビジネス書籍に、スティーブン・R・コヴィー氏の「7つの習慣」という本があります。
社会的に成功している人には、共通する7つの習慣があり、その習慣が「長期的かつ継続的に成果を得ること」に繋がっているとしています。

  • 【第一の習慣:主体性を発揮する】
  • 【第二の習慣:目的を持って始める】
  • 【第三の習慣:重要事項を優先する】
  • 【第四の習慣:Win-Winを考える】
  • 【第五の習慣:理解してから理解される】
  • 【第六の習慣:相乗効果を発揮する】
  • 【第七の習慣:刃を研ぐ】

成功者が朝活をする理由は、この7つの習慣の中の「第三の習慣:重要事項を優先する」に深く関係しているように思います。
重要なことを優先して行うという時間の使い方を習慣にすることで、充実した人生が送れるようになるというものです。

重要事項を優先する

人々の日常の活動は、以下のように4つに分類することができます。

緊急かつ重要
  • 災害、事故、病気、危機
  • 締め切り前の仕事
  • クレーム対応
  • トラブル対処
緊急ではないが重要
  • 人間関係作り
  • 健康管理
  • 自分磨きの勉強
  • 準備や計画
緊急だが重要ではない
  • 無意味な電話やメールへの対応
  • 突然の来訪への対応
  • 無意味な接待や付き合い
  • 多くの会議、報告書
緊急でも重要でもない
  • 暇つぶし
  • 必要以上の息抜き
  • だらだらとした長電話
  • 世間話
  • その他無意味な活動

私達は普段、「①緊急かつ重要」と「③緊急だが重要ではない」に時間を取られることが多いと思います。
緊急であるため、どうしてもすぐに対応しなければならないことなのですが、長期的なスパンで物事を考えた時、人生において最も重要な活動は「②緊急ではないが重要」となります。
ですが、②は緊急ではないため、時間に余裕がある時や気が向いた時くらいにしか実行していないのが現実ではないでしょうか。

②の活動は、すぐに結果に結びつくものではないですが、継続的に行うことで数年後の人生を大きく変える可能性を秘めています。
その重要性をわかっている人は、確実に自分の時間が取れる早朝に②の活動を済ませているのです。それが「朝活をする人は成功する」「成功者は朝活をする」理由なのだと思います。